クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ [Blu-ray]
1985年の日航機事故とその報道を題材にした映画「クライマーズ・ハイ」。
昨年夏に、ライブでお会いした元てつ100%のてつさんから、元新聞記者なら観るべきだと勧められたのですが、公開中は時間が合わず、DVD発売まで待って、今日やっと観ることができました。

内容は、地方新聞社内の軋轢と人間模様。そして報道のあるべき姿と、販売媒体である新聞の悲しさといったところでしょうか。

観ている途中で、自分がオーストラリアで記者をしていた頃のことを思い出しました。と、いうか記者を辞めたくなった理由を鮮明に思い返してました。



ボクが報道に限界を感じたのは、同じく「飛行機事故」。ゴールドコーストで日本人7人を載せた小型機がビーチに不時着し、その取材に行った時のことです。
意識不明者も出たこの事故で、病院から出てくる新婚旅行のカップルに取材に行ったのですが、包帯も痛々しい二人に根掘り葉掘り状況を聴く自分と他の外人記者に嫌気がさしました。
報道する者の仕事はまっとうしながら、もう一人の自分は、憔悴しきった二人を「ただ休ませてあげたい」と願いました。


報道をやっていると、物事を公にすることの責任感が、いつしか「報道には力がある」という高揚感へ変わる瞬間があります。しかし、それは行ってはいけない領域。


そんな場所へ引きずり込まれる前に、その感覚が当たり前になる前に
ボクは身を引いちゃいました。というか、覚めちゃいました。
あの時、プロとしては失格だったかも知れませんが、人として悪くない判断だったと今でも思い返します。


すべての報道を否定するわけではありません。
必要だったり、世の中のためになる報道もたくさんあります。
しかし、今でも時々TVや新聞等々でも「やりすぎ」な報道を目にします。


悲しくなります。


ボクは、同じペンを持つ仕事でも
人の不幸を多く書くより、子供たちに少しでも
夢を多く伝えていける、今の仕事が大好きです。